■成松一郎 読書工房では、『盲ろう者への通訳・介助』や『指点字ガイドブック』を出版したり、また私個人として、全国盲ろう者協会発行の「コミュニカ」編集委員を務めている関係で、全国盲ろう者大会には、毎年出展しています。
今年の展示の中ではとくに、桜井記念・視覚障がい者のための手でみる博物館(盛岡)が特別出展していて、来場者の人気を集めていました。(私も今年の2月26日に訪問させていただきました)
もともと全盲の盲学校教諭だった桜井政太郎さんが、ご自宅で開設していた「手でみる博物館」に展示されていた生物の標本や、民芸品、文化遺産の模型など約3,000点を移設したものです。残念ながら桜井さんは、2016年2月に79歳で亡くなられましたが、2011年から桜井さんと一緒に活動してこられた川又若菜さん(桜井さんの盲学校時代の同僚の娘さん)が、桜井さんの「志」を受け継ぎ、館長として運営を続けています。
今回の出展は1日めだけでしたが、ペンギンやサメのはく製、ジャンプ台や東京スカイツリーの模型などを持ってこられていました。
読書工房ブースでは、とくに、『中途視覚障害者への点字触読指導マニュアル』や『初めての点訳』『G-10とマナブくんの点字教室』など、点字を学ぶための書籍が関心を集めていたと思います。盲ろうの人は、盲ベース(もともと視覚障害があり、後で聴覚障害も加わる)よりも、ろうベース(もともと聴覚障害があり、後で視覚障害も加わる)の比率が高く、点字のしくみを知らない人が多いそうです。
実際、会場の中で出会う盲ろうの人も、触手話や接近手話で通訳・介助を受けている人が圧倒的に多いのですが、進行性の障害により、将来見えなくなった時のためにも、点字も覚えておきたいというニーズは結構高いようです。
そういう中途で視覚障害になった人向けのわかりやすい教材づくりは、読書工房としても課題であると、つねづね考えるところです。
なお、8月19日(土)の夜には、北上川の河川敷で花火大会もあり、つぎつぎと打ち上げられる、花火の多彩な色と音を満喫しました。