全国患者図書サービス連絡会で「図書館と情報リテラシー」に関する講演会

■成松一郎

私が長い間おつきあいさせていただいている全国患者図書サービス連絡会。以前勤めていた出版社で『患者さんへの図書サービスハンドブック』を奈良岡功会長や、山室眞知子さんたちと編集させていただきました。

7月15日(土)日本図書館協会で全国患者図書サービス連絡会主催の講演会『さまざまな立場の当事者が情報リテラシーを育む場としての図書館』があり、私と森田茂樹さん(京都府在住でロービジョン当事者の立場から約20年にわたりロービジョンケアを実践されている)が講演させていただきました。

私は、図書館評論第58号(図書館問題研究会)に寄稿した「図書館利用に障害のある人々へのサービスについて考える―さまざまな立場にある利用者の「アクセシビリティ」と「リテラシー」を育む場としての図書館」をレジュメとして、おもに「アクセシビリティ」の基礎知識を(障害者サービス担当者向けという限定的な方法ではなく)多くの図書館員や図書館員のタマゴが学べる場を作っていきたいという話をいたしました。

森田茂樹さんには、40代で網膜色素変性症という難病による視力や視野障害が発症し、会社を辞め、引きこもりを経験した後、拡大読書器などの視覚補助具と出会うことをきっかけに、読み書きを復活させ、やがていくつかの大学病院などでロービジョン当事者として、多くの患者さんに情報提供や相談を行ってきた話をしていただきました。

もともと私のほうから「森田茂樹さんの講演をぜひ全国患者図書サービス連絡会で」と企画を持ちかけたのが実現したもので、私としては、とても感慨深いものがありました。

私はかつて森田茂樹さんが100パーセント拡大読書器を使って執筆された『拡大読書器であなたも読める書ける』(大活字社)の企画編集にかかわったことをきっかけに、森田さんとは長いおつきあいをさせていただいていますが、森田さんの講演には、なんらかの理由で見えにくさを感じている図書館利用者自らが「情報リテラシー」を育てていくきっかけの場を、公共図書館が提供できるヒントが含まれていると、ずっと考えてきました。

これまでにも、岡山県立図書館などで森田茂樹さんの講演や職員研修を含む「見えにくさ」を感じている人のための図書館活用講座が実現していますが、8月5日には、京都府立図書館でも開催されることがきまっています。
◎見えづらい人(ロービジョン)のための視覚補助具の使い方講座